MoMA QNS(モマ・クイーンズ)
ドローイングの現在展: 8つの提案(Drwaing Now: Eight Propositions) 10/17, 2002-1/6, 2003
この秋の主要な展覧会としてモマ・クイーンズは、”ドローイングの現在”展を開催した。これは、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアからの26人の若手アーティストから構成される国際展だ。"習作"という意味にとらえられがちなドローイングは、大きな国際展(例えば、ドクメンタやビエンナーレ等)では前面に取り上げられることがない。しかし、ドローイングはルネサンスにまでさかのぼる伝統的な要素を含みつつ、新しいアートも予感させるもの。ドローイングの中に常に変化し続けるコンテンポラリー・アートがどのように反映されているのか、その検証が今回の展覧会の主旨である。
Drawing Now 展 会場風景 Photo©S.Yoshida
約250点の作品が並べられ、それぞれ8つのカテゴリーにわけられた(科学とアート・自然と人工、装飾、建築的な設計図、幻想的な建築、宇宙、文化的な幻想、コミックやアニメーション、ファッションと肖像画)。このカテゴリーは、美術館側の解説によると、特定の枠として機能するものではなく、現在のドローイングを推し量るために”提案”されたものという。作品のテーマはもとよりスケールも様々。小さなノートの切れ端サイズから部屋の壁一面を覆う巨大なものまである。素材も鉛筆や水彩、オイルにワックスやコラージュとバリエーションに富む。New
York Times で、この展覧会を”ここ15年間、最も野心的で冒険的な展覧会”と評した評論家のローバート・スミス氏は、企画担当したローラ・ホプトマン女氏のコメントをこう引用する:”ドローイングは、以前、制作の過程としての’動作’を示す言葉だったが、現在は自身の歴史を意識しつつ、複雑にそれを取り囲む世界と結びつく一つの’名詞’として存在する。” 確かにドローイングは、アートにおける重要な一分野として存在しているようだ。
Kara Walker, Negress Notes, 1996 Watercolor on paper Photo courtesy Brent Sikkema, New York
Graham Little, Untitle(2000) Colored pencil on paper Photo:Andy Keate courtesy asprey jacques, London
Elizabeth Payton, Savoy(self-portrait),1999 . Drawing Now 展会場風景 (作品左:奈良美智、右:村上隆) Photo©S.Yoshida . Yoshitomo Nara, U-ki-yo-e, 1999より Photo©S.Yoshida
NYARTの読者にとって当然気になるのが、コミックやアニメーションのカテゴリーに登場した奈良美智と村上隆の作品ではないか。殊に奈良の場合、印刷された浮世絵の上から油で描いた作品の他、小さな紙のドローイングを多数壁にはりつけたインスタレーションを公開した。村上氏の立体作品のためのドローイングに比べ、独立した作品として展覧会の趣旨により近い印象を受けた。同じセクションで展示されているのは、奈良、村上両氏より若干若い(といってもほぼ同世代の)サンフランシスコのアーティスト、バリー・マッギー(Barry
McGee)。ともに独自のキャラクターを創造する。くったくのない村上氏のそれに比べ、奈良、マッギーのキャラクターが共有するのはそこはかとなく漂う孤独感。ドローイングが私たちを取り囲む世界を何らかのかたちで反映し、そして私たちがそのドローイングに惹かれるとしたら、孤独感は私達の共通の所有物かもしれない。 Yoko Yamazaki
Barry McGee, Untitled, 1998-2002 Photo©S.Yoshida
Yoshitomo Nara, Time of My life, 1992-2000. Colored pencil Photo: Thomas Griesel, The Museum of Modern Art, New York ©Yoshitomo Nara
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