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ハイタイムズ/ハードタイムズ:ニューヨーク・ペインティング1967-1975 High Times Hard Times: New York Painting 1967-1975 2/15−4/22、2007 National Academy of Museum 1960年代後半から70年代初頭は、”絵画の死”と言う言葉があたかも標語化したかのような時代。アートメディアとしての絵画が否定的に扱われた一方で、彫刻はミニマリズムやインスタレーションに見られる新しい方向性に向かい、ビデオやパフォーマンス等の新分野のアートも台頭した。しかし、絵画は本当に可能性の無いメディアだったのだろうか。 本展は、1967年〜75年に焦点を絞り、当時20代、30代でニューヨークで活動した37名のアーティスト達の様々な試みの中に、無効と言われた時代の絵画の可能性を検証しようとするもの。
Dan Christensen
Lynda Benglis
本展は、ほぼ年代ごとかつ技法的な視点から6つのセクションに分けられている。第一は、1968〜1970年。ダン・クリステンセン(Dan Christensen)、ケネス・ショウェル(Kenneth Showell)らの作品は、絵画避難の引き金にもなったモダニズム理論に擁護された抽象表現主義的絵画やカラーフィールドペインティングに類似して見えながら相違した側面を持つ転換期の絵画として紹介されている。第二は70年代。キャンバスからはなれ、木材やラテックス、ファイバーグラス等の新素材によって平面から解放され、空間に融合していく絵画を紹介。ラテックスを床に直接たらしたリンダ・ベングリス(Lynda Benglis)の作品や、屋外に赤い絵の具のドットを描いた草間弥生のビデオ(Self-Obliteration, 1967)が含まれている。
Harmony Hammond
Yayoi Kusama
第三、第四は絵画とパフォーマンスやフィルム、ビデオとの相互関係を探るもの。糊だらけの体で床に敷き詰められた紙を付着させていくキャロリー・シュニーマン(Carolee Schneemann)のパフォーマンスビデオ(Body Collage 1967)が含まれている。そのパフォーマンスについて、彼女は抽象表現主義絵画を意識しながら、その次元を平面から空間へ転換させようとしたと語っている。絵画から出発したパフォーマンス、またパフォーマンスに触発され展開した絵画が見えてくる。また、当時はベトナム戦争、人種問題に絡む暴動、暗殺などの事件が相次いだ時代。絵画にはペインター達の社会的意識も反映される。例えば、ジャック・ウイッテン(Jack Whitten)のスキージーによるブルーワーなモノトーン作品は、彼のアフリカン・アメリカンという社会的背景を暗示しているという。
Jack Whitten
続く第五は、それまでの実験的な試みの後で再び伝統的なキャンバスに回帰した絵画と言う視点で作品を紹介している。経済的には不況にも見舞われた70年代は、多くのアーティスト達がニューヨークを離れたと言い、ペインターに限らずアーティストにとっては苦難の時期でもあったようだ。しかし、最後の第6のセクションでは、それでもなおかつその時代が絵画にとっては開かれた時代であったと結んでいる。 観覧者の中からは「これは忘れられたペインター達の展覧会。」という声が聞かれた。確かに既に亡くなっているアーティストもいれば、今ではあまり聞き覚えのないアーティストもいる。けれども、本展は、彼らの実験的な歩みを振り返ることで、アートメディアとしての絵画が何であるかといった問いをうながし、しかもそれが一つの概念では語られない多様な試みであったことを示す。この春話題となった展覧会の一つ。iCP (Independent
Curator International)主催、監修はペインターでもあるデビッド・リード(David
Reed)、そしてゲストキュレーター、ケイティー・シーゲル(
Katy Siegel
)によるもの。ノースカロライナ、DCなどアメリカ国内の美術館に巡回予定。(Yoko
Yamazaki) |
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