エリザベス・マーレイ展

Elizabeth Murray

10/23、2005−1/9、2006

The Museum of Modern Art

 

エリザベス・マーレイは、1940年シカゴ生まれ。1962年、スクール・オブ・ザ・アート・インスティチュート・オブ・シカゴを卒業、1967年にニューヨークに移り、以来ニューヨークをベースに活躍するアーティスト。本展は、 前モマ絵画・彫刻部門のシニア・キュレーター、ロバート・ストア(Robert Storr)の企画によるもので、 約70点の作品( 彼女の大学卒業の翌年から現在に至るまでの作品から)で構成された回顧展。

マーレイは、カップやスプーンなど日常的なモチーフをもとに、レリーフのような構築的な作品を作ることで知られる。少女時代ディズニーに傾倒したという彼女、漫画的なデフォルメも特徴で、直線的で幾何学的なものから流線的で有機的なものまでと変化に富む。一見美術史の流れから逸脱しているような独特のスタイルに対し、企画者ストアは、現代美術は常に過去の否定ではなく過去に培われた様々な可能性の上に立脚するものと述べ、彼女の作品にキュビズムやシュールレアリズム、構成主義、そしてポップアートやポスト・ミニマリズムの要素を見いだしている。

Elizabeth Murray

F Painting. 1973

Oil on canvas

36 x 36" (91.4 x 91.4 cm)

Collection James F. Duffy, Jr.

Photograph: Tim Thayer

© 2005 Elizabeth Murray

しかし本展は、美術史的な分析以前に、65歳になるマーレイの42年間の変遷をほぼ年代順に分かりやすくたどるもの。 始まりは60−70年代初期までの小さなペインティングから。80年から大型スケールの抽象油彩作品、90年にかけては彫刻的で量感のある木製パネルに油彩の作品に移行する。90年代後半からは平面性が強く明るい色彩の作品が主流となる。本展は、開放感を感じさせる最近作“Do the Dance:踊ろう (2005)”で締めくくられる。

Elizabeth Murray

Painters Progress. Spring, 1981

Oil on canvas, nineteen panels

9' 8" x 7' 9" (294.5 x 236.2 cm)

The Museum of Modern Art, New York. Acquired through the Bernhill Fund and gift of Agnes Gund

© 2005 Elizabeth Murray

展覧会カタログの中でストアは、男性に比べ、女性アーティストのスターダムに上がる困難さも暗に示唆する。(リー・クラズナー、ルイ・ブルジョワ、ヘレン・フランケンサーラーらのモマでの回顧展はすべて彼女達が60歳を超えてからと言う。)加えて、新しい角度からのアプローチが新鮮な視点をもたらすとも語っているが、それはマーレイが女性であったからというだけではないだろう。本展は、常套手段に陥らず自由な表現形式を追い求め続けるアーティスト、マーレイへのオマージュのようにも感じられた。(Yoko Yamazaki)

Elizabeth Murray

Do the Dance. 2005

Oil on canvas

9' 5" x 11' 3" x 1 1/2" (287 x 342.9 x 3.8 cm)

Courtesy PaceWildenstein

Photo: David Allison

© 2005 Elizabeth Murray

 

 

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