宇宙基地
1978
30 x 60 x 25 cm
カードボード、プラスティック
ニューヨークの次郎長
第51回 たこ目、失恋す
バーベキュー火付け用のテレピンの缶をつかんだたこ目は、バシャ、バシャ、自分の常に掛け始めた。 ああ、皆なが驚いているすきに、マッチをすると、自分の髪のあちこちに火を付け出した。 ちり、ちり、いやな音を立て、臭いと共に燃えはじめた頭は、一気に火の塊と化した。 苺は、昔、母が日本画家を目指して描いた不動明王の図を思い出した。 炎をバックに剣を握りしめ歯を食いしばった魔神の姿をした仏様。
このアメリカの海岸、無人のコニーアイランド海水浴場の片隅で、ロマンチックだった暮色を背景に繰り広げられた、恋のさや当てから始まり、あっと云う間に、鮮血を見、焼身自殺にまでたどり着いてしまった、ドラマのクライマックスに全員手足が、金縛りに会っていた。
「じゃあ、私、デートの時間だから、バイ」
「と、まあこんなとこかな」 石松の言葉に記者の仙さんは、
「皆な忘れたわ」 と、たこ目は、熱かんを、コップで、ぐっとひっかけた。 「石、お前のお化け屋敷、大入りだなあ」 「へえ、親分ありがとうござんす、これも苺のお陰で、彼女と来た日にゃあ、何でもかんでも血だらけにしちまうんだから」 「いやあー、あの化け物小屋、評判いいですよ、何でも、出て来たガキが、真青になって、お袋にしがみ付き、兄弟に、どんなに恐しかったかを、身振り手真似で説明している様、見せたかったょ、石兄いは釣りに夢中だったからなあ、今日は」 「でも、気持悪くて嫌だと云う人もいますよ、テレビの連中も取材してたし、見物人にインタービューしてましたね、全部、首切りや、腹切りばっかりだって答えてます」 「ぜひ、私、明日、写真を撮りに行って来ます、して、中は真っ暗なんでしょう」
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