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ペーテル・パウル・ルーベンス:ドローイング展 Peter
Paul Rubens : The Drawings 1/
15, 2005– 4/ 3, 2005 メトロポリタン美術館
Peter
Paul Rubens (Flemish, 1577–1640) Lioness
Seen from the Rear, Turning to the Left, ca. 1613 Black
chalk, with touches of yellow chalk, heightened with white oil or bodycolor,
some gray wash, laid down, 396 x 235 mm (15-9/16 x 9-1/4 in.) The British Museum, London 1994.5.14.46
ルーベンス(1577–1640)と言えば、豊かな色彩と迫力のある構成に量感のある人物表現で知られるバロック絵画の巨匠。フランドル(フランダース)地方出身で、イタリア、イギリス、フランスで国際的な宮廷画家として活躍した。華やかな生活の中、多くの弟子達を抱えるワークショップで多忙に仕事をこなしたルーベンス、実はそのほとんどが弟子達によって描かれたと伝えられる。(最後の一筆を入れたのがルーベンスだったとか。)しかし、ドローイングに的をしぼった本展は、アーティストとしての彼の技量を十分に伝える。ルーベンスの生涯にわたる115点のドローイングがヨーロッパ、アメリカから集められ、時代に沿いつつテーマごとに分類されている。
Peter
Paul Rubens (Flemish, 1577–1640) Susanna,
1607–11 Pen
and brown ink, brush and brown wash on off-white laid paper, 175
x 152 mm (6-7/8 x 6 in.) The Metropolitan Museum of Art, New York; Purchase, Anonymous Gift, in memory of Frits Markus, 1998 1998.74
17世紀初頭、ルーベンス20代、イタリアに留学。ドローイングの鍛錬といえば、彫刻のデッサンや名画の模写だった。ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂からの模写など、イタリアルネサンスの巨匠のテクニックを学び取ろうとする真摯な姿勢が伝わる。大作を手がけるようになった30代〜50代、ほとんどの制作を弟子達に任せるようになっても、構図の決定は常にルーベンスが行なったようだ。素早く描いたペンとインクによる大作へのドローイングからは、浮かんだイメージを逃さない緊迫感がある。夫人達(最初の夫人イザベラと死別、53歳の時に16歳のヘレナと再婚している)や、子ども達のドローイングは、一瞬の表情を見事にとらえ、しかも細やかな愛情にあふれている。それらは、時として作品の下絵となるが、自身の楽しみのために描かれたとも言われる。最晩年、引退後に描かれた彼の屋敷のそばののどかな農村風景も見ることができる。
Peter
Paul Rubens (Flemish, 1577–1640) Young
Woman Looking Down (Study for the Head of Saint Apollonia), early 1628 後のルーベンス夫人ヘレナ、当時14歳。 Black
and red chalk, heightened with white; eyes, eyelashes, and left eyebrow
retouched with pen and brown ink, 414
x 287 mm (16-5/16 x 11-1/4 in.) Gabinetto Disegni e Stampe degli Uffizi, Florence 1043 E
Peter
Paul Rubens (Flemish, 1577–1640) Nicolaas
Rubens Wearing a Coral Necklace, ca. 1619 最初の夫人イザベラとの間に生まれた息子ニコラス。 Black
and red chalk, heightened with white chalk, eyes, part of the necklace, sections
of the mouth strengthened with pen and dark brown ink, on brownish paper, 252 x
202 mm (9-15/16 x 7-15/16 in.) Albertina, Vienna 17 650
本展の後半には、知識人でもあったルーベンスが自身で収集した古いドローイングのセクションがある。興味深いのはそのドローイングに彼が手を加えていること(!)。弟子達の仕上げをしたように、ルーベンスは、過去の作品に筆を加えている。古美術品に手を入れるなど、現在では考えられないが、これはルーベンスのアーティストとしての自信とまた過去の作品への敬意であると説明されている。実はルーベンス自身のドローイングもまた後のアーティストによって手を加えられていることが知られている(!!)。あくまでドローイングが、絵画作品の下絵として考えられていた頃の話だが、当時のアーティストにとってドローイングは、大作への青写真でもあったはず。ドローイングの中に織り込まれた野心や夢まで見るようで、アーティストの息吹が感じられた。 (Yoko
Yamazaki)
Peter Paul Rubens (Flemish,
1577–1640) Crouching Man Seen from the
Back, ca. 1610 Black chalk, accentuated
with brush and black wash (added by Jacob de Wit), 初期の大作、「キリスト昇架」のためのドローイング。 ヤコブ・デ・ウィットにより加筆されている。 heightened with white, 465
x 320 mm (18-5/16 x 12-5/8 in.) Private Collection, The Netherlands |
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