ニュー・ヨーク チェンジング
 
New York Changing:  
Doug Levere Revisits Berenice 
Abbott's New York
         
The Museum of the City of New 
York
 
July 26-November 27, 2005
 
 
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		Berenice Abbott,  
		Custom House Statues and New York Produce Exchange, Bowling Green, 1936, Courtesy the Museum of the City of New York. 
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		Douglas Levere,  
		Statues in front of former Custom House and MTA Headquarters, 1997, © Douglas Levere. 
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無名だったアジェの写真を 世界に紹介することに尽力した事でも知られるベレニス・アボット(Berenice Abott, 
1898-1991) 
は、(変わりゆくパリの町並みをアジェが撮ったように、)急速に変りゆく1930年代のニューヨークを記録した。その仕事は、写真集“変りゆくニューヨーク 
(Changing New York, 1933) ”にまとめられている。
 
コマーシャルフォトグラファーとして知られるダグラス・レヴェア(Douglas Levere)は、 
アボットが撮影した場所を訪れ、彼女がカメラを据えたであろう地点から、同じ8x10のカメラを使い、光の状態を近づけるため彼女が撮影した同じ月日、同じ時間を選んで撮影したという。いわば、“変わりゆくニューヨーク”の再撮影。本展では、百点に及ぶシリーズのうち1997年から2003年にかけて撮影された50点をアボットの作品とともに展示する。
 
本展の印象を一言でいえば、“今昔写真展”といった感じだ。対になった写真のどちらを見るというのでもなく、どのように変わったのか、その違いに目がいく。新しいと思っていたビルディングが実は古い物だと知ったり、ほとんど変わっていない場所もあるのだと感心したり。ニューヨーカーならずとも、おなじみのシーンの一つや二つはあるはずだ。個人的には、60年の間生き延びた建物よりも、成長した木々に驚きを感じた。
 
レヴェアの写真は、既に破壊されてしまった建物の不在を写しだす。しかしアボットの写真なくしては、失われた建物の存在を示す事ができない。本展を見た帰り道、おかしな妄想に取り付かれた。仮に、レヴェアの写真がアボットなしの単独で展示されたらどうだろう。 
シェリー・レビーン(Sherrie Levine)、リチャード・プリンス(Richard Prince)、あるいは、写真家不在の 
Morimura(森村泰昌)の仕事に近いものにみえるだろうか?  
- S.Yoshida