ロ-トタイム:ディター・ロート回顧展
Roth Time: A Dieter Roth Retrospective
3/21~6/7、2004
P.S.1 Contemporary Art Center
Dieter Roth.
Flacher Abfall (Flat waste).
1975-76/1992.
Flat waste in plastic sleeves, in 623 A4 file folders, in 5 wood racks, variable
dimensions.
Flick Collection.
© Estate of Dieter Roth.
戦後のヨーロッパにおいて、幅広い制作活動で知られたディター・ロート(1930ー1998)の回顧展が、モマとP.S.1の二館で同時開催中。モマでは比較的小さなグラフィック、ペインティングなどを中心に、ロートの幅広い制作活動を時代、テーマ、素材ごとに紹介するような展示だった。それに対し、P.S.1ではロートの制作のクライマックスともいえるインスタレーションが中心で、会場空間を生かした巨大な作品が展示された。
Dieter Roth.
Solo Szenen (Solo scenes).
1997-98.
131 video monitors with VCRs, three wooden stands, 131 VHS-tapes, two shelving
units,
Overall: c. 39’ 4” x 6’ 10 11/16” x 17 11/16” (1,200 x 210 x 45 cm).
Private Collection.
© Estate of Dieter Roth.
© Dieter Roth Foundation, Hamburg,
Photo: Heini Schneebeli.
手に触れた物、目にした物、もらった物、ひらった物、とにかく身の回り全ての物がロートのアートになり得た。P.S.1では、ロートの収集ケースをそのまま展示している。日々の生活(トイレでの映像まで含まれる)を様々な時間と角度からとらえたビデオダイアリー、本来は屋外に設置し、降雨により作用するという巨大アートジュースメーカーなど、ロートにとってアートは日々の生活そのままだったことを伝える作品が並んだ。
Dieter Roth,
Björn Roth. Gartenskulptur (Garden sculpture).
1968-96.
Wood, wire, rope, metal, construction materials and objects, furnishings,
plants, video equipment, monitors, painting utensils, liquids in glasses,
foodstuffs, toys, clothing, pigments, photographs, drawings, multiples, and
collages, Variable dimensions.
Flick Collection.
© Estate of Dieter Roth.
Photo: Dominik Labhardt.
P.S.1若手チーフキュレーター、クラウス・ビーゼンバッハは、それらのインスタレーションは、詩にも関心のあったロートの、視覚的なポエジーだと表現したが、その言葉がよく合う。アートワールドの理論で知られるアーサー・ダントもプレスオープニングで顔を見せた。おそるおそるミスターダントですかとたずねると、快く”Yes"と答え、ロートの制作のパワーに感心した言葉が即座に続いたのが印象的だった。
(Yoko Yamazaki)