フル・ハウス展
Full House
6/29−9/3,2006
Whitney Museum of American Art
現代のアーティスト達の作品の展覧を目標にホイットニー美術館がオープンしたのは1931年。現在その収蔵作品は16000点にも上ると言う。本展は,同館の75周年を記念して企画され、その名の通り全ての展示スペースを使い、収蔵作品の公開をしたもの。
2階展示室
Photo©S. Yoshida
3階展示室
Photo©S. Yoshida
4階展示室
Photo©S. Yoshida
普段なかなか見られない収蔵品の虫干し的な展覧会ではない。各階ごとに大まかな時代区分がなされ、メイン展覧会場となる2、3、4階は、下から抽象表現主義、ポップアート、そしてミニマリズムと、アメリカの20世紀の美術における大きな理念とスタイルの流れが端的に回顧できるようになっている。しかし、一つの理念がその時代を確定した訳ではなく、核となるアートが生じれば,それへの反動、あるいは反応として生じるアートもある。時代の中心となった作品はもちろん、包括的に幅広く作品を見せる。例えば,メリー・ケリーの8ミリフィルムの作品(妊娠し大きくせり出した自身の腹部を局部的にとらえたもの)がミニマリズムの流れで、ドナルド・ジャッド、ローバート・モリスやクラエス・オールデンバーグとともに展示されたのも興味深く、まるで見る側にその時代を追体験させるような指向になっている。また、時に時代をさかのぼり、参照された作品も並列して見せるなど教育的である。
Soir Bleu
Edward Hopper, 1914
Oil on canvas , 36 x 72 in. (91.44 x 182.88 cm)
Whitney Museum of American Art, New York
Josephine N. Hopper Bequest , 70.1208
©Heirs of Josephine N. Hopper, licensed by the Whitney Museum of American Art
Photograph by Geoffrey Clements
一回ロビーギャラリーにはアレクサンダー・カルダーのサーカスが展示される他,最上階の5階はエドワード・ホッパーの長期の回顧展が開催中。(6/7−12/3,2006)会期中,シカゴやモマからの作品も期間を限定して展示される予定。メモやドローイングを始め、イラストレーターとして活躍していた初期の作品なども多く含む。ホッパー晩年のスタイルがどのように確立されていったのかが検証でき興味深い。(Yoko
Yamazaki)