ドローイング展(ホイットニー美術館)と野外彫刻(メトロポリタン美術館:ルーフガーデン)
Oldenburg / van Bruggen Drawings in the Whitney Museum of American Art
7/7- 9/15, 2002
945 Madison Avenue at 75th Street
火~木:11am-6pm、金:1-9pm、土日:11am-6pm (休館日:月)
入館料:大人$12,
シニア・学生(要学生証)$9.5、メンバー・12歳以下フリー
(金曜夕方6時以降は、ドネーション)
メトロポリタン美術館:ルーフガーデン
Oldenburg and van Bruggen
on the Roof: The Metropolitan
Museum of Art
5/1-late fall, 2002
Fifth Avenue at 82th Street
火~木、日:9:30am-5:30pm、金土:9:30-9:00(休館日:月)
入館料:大人$10,
学生、65歳以上$5(基本的にはドネーション)
クラエス・オールデンバーグ(1929年、スウェーデン生まれ)は、1959年よりニューヨークをベースに活躍するアーティスト。60年代には、アイスクリームコーンやハンバーガーといった日常的なモチーフをもとに作品を展開し、ポップアーティストの一人として知られる。今回ホイットニー美術館1階、5階のギャラリーでは、このオールデンバーグのドローイングに焦点をあてた展覧会が開催された。
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Blueberry Pie a la Mode, Sliding Down a Hill, 1996
Charcoal and pastel, 39 5/8 x 30 in.
Collection of the artist.
Claes Oldenburg
Dream Pin, 1998
Pencil and colored pencil, 30 x 40 in. Collection of the
artist. Photo graphy
by See Spot Run, Inc., Toronto, Canada
1階のギャラリーでは、1992年から1998年の間に制作された、屋外彫刻のための比較的大きなドローイングが展示されている。これらは、美術史家でありアーティストでもある妻、クージェ・バン・ブルッゲンとの共同作品である。二人は、屋外彫刻の制作を1976年より始め、アメリカやヨーロッパの各地で発表している。複数のアーティストによる共同制作(コラボレーション)は、60年代初期のハプニング以来アートを発表する一つのスタイルで、夫婦での制作もその流れをくむものだ。
Claes Oldenburg
Proposal for a Cathedral in Form of Colossal Faucet, Lake
Union Seattle,
1972.
Watercolor, graphite & colored pencil on paper, 29 x 22
7/8 in.
Whitney Museum of American Art, NY;
Photo by Geoffrey Clements.
5階ギャラリーでは、初期の、1959年から1977年にかけて制作された74点の水彩、パステル、コンテ等による作品が展示されている。ビニールやキャンバス地でできた”ソフト・スカルプチャー”が、当時のオールデンバーグ作品の代名詞となったが、それらのイメージスケッチが並べられた。中には繊細な色使いで丁寧に描かれたものもあり、オールデンバーグの別の一面をかいま見せる。
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Corridor Pin, Blue, 1999
Photo
©S. Yoshida
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Shuttlecock/Blueberry Pies, 1999
Photo ©S. Yoshida
メトロポリタン美術館、ルーフガーデン(屋上)では、ホイットニーのドローイング展と提携し、オールデンバーグ、バン・ブルッゲンの野外彫刻展が開催中だ。“コーリーダー・ピン、ブルー(Corridor
Pin, Blue)”、”シャトルコック/ブルーベリーパイI, II(Shuttlecock/Blueberry Pies I and
II)"等が展示されている。
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Plantoir, 2001
Photo ©S. Yoshida
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Plantoir, 2001(部分)
Photo ©S. Yoshida
オールデンバーグ、バン・ブルッゲンは、独特のモチーフに強烈な色彩を扱うが、常にセッティングつまり作品周囲の自然環境、建築環境に気を配っている。ルーフガーデンからは、マンハッタンのビル群、そしてセントラルパークが展望できるが、そこでの彼等のテーマは’都市空間における自然とアートワーク’ではないか。真夏のNYの強い日ざしを受けて、安全ピンはセントラルパークの森を指し、その脇には自然・園芸を暗示する大きな赤いシャベル(Plantoir)が立つ。ルーフガーデン入り口側のカフェの脇には、モノトーンの“彫刻家のハンカチーフ(Architect's
Handkerchief)"が並ぶ。これは、エレガントな着こなしで知られる建築家マイーズ(Mies)の写真(仕立てたスーツの胸ポケットから高価なチーフをのぞかせていた)からヒントを得たもので、建築のメタファーでもある。オールデンバーグ、バン・ブルッゲンの野外彫刻は、そのユーモラスな外観で来館者の目を楽しませている。
(Yoko Yamazaki)
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Architect's Handkerchief,
1999
Photo ©S. Yoshida
Claes Oldenburg and Coosje van Bruggen
Architect's Handkerchief,
1999(部分)
Photo ©S. Yoshida
メトロポリタン美術館ルーフガーデン
Photo ©S. Yoshida