The Brooklyn Museum of Art
ブルックリン美術館
200 Eastern Parkway Brooklyn, NY 11238-6052
Tel: 718-638-5000, fax 718-638-5931
URL http://www.brooklynart.org/
水、木、金 10:00A.M.~5:00P.M.
土、日 11:00A.M.~ 6:00P.M.
月、火 休館
ジュディ・シカゴ:ディナーパーティー
9/20, 2002~2/9, 2003
ブルックリン美術館, Iris and B. Gerald Cantor Gallery、5F
ディナーパーティー全景
The Dinner Party
Judy Chicago©, 1979
Photo : Donald Woodman©
製作中のジュディ・シカゴ
Judy Chicago©,
1979
Photo : Donald Woodman©
ジュディ・シカゴは、1970年より女性をテーマにした作品を展開するシカゴ育ちのアーティスト(シカゴというラストネームはペンネーム)。今回ブルックリン美術館5階ギャラリーにて、セラミックを用いたインスタレーション作品、”ディナーパーティー”を公開した。これは、1979年サンフランシスコ美術館で初めて展示されたもので、その後各国を巡回し国際的にも知られる作品だ。1980ー81年にブルックリン美術館の今回と同じ場所で展示された経緯がある。2004年にはブルックリン美術館で常設される事が決定しており、それが25年ぶりのブルックリンへの里帰りとなるわけだが、今回の展示はそのプレ・セレモニーといえるだろうか。
紀元前600年頃のギリシャの詩人サフォー(Sappho):右
The Dinner Party
Judy
Chicago©, 1979
Judith
and Sappho place settings
Photo : Donald Woodman©
絵皿とワイングラスが並ぶ1辺13席、計39席の正三角形のテーブルは、神話や寓話に登場する架空の人物も含む、著名な39人の女性に捧げられたもの。三角テーブルの一辺は、先史時代から古代ローマ時代の女性へ、また別の1辺は中世から宗教革命時代の女性へ、そしてアメリカ革命から近代の女性革命に生きた女性へというように、作品が網羅するのは3千年以上の女性の歴史である。そこには、なじみ深いエミリー・デキンソン、ヴァージニア・ウルフ、ジョージア・オキーフの名も登場する。
アメリカの詩人エミリー・デキンソン(1830-1886)
The Dinner Party
Judy Chicago©, 1979
Emily
Dickinson place setting
Photo : Donald Woodman©
絵皿には、全て異なるデザインで、花や蝶に基づく有機的なペインティング、あるいは立体的な装飾が施されている。テーブルに掛けられたクロスも一点一点異なり、その前方にはそれぞれの名前が刺繍されている。このセラミック、刺繍といった技法は、長らく女性的な仕事と考えられ、アートでは無くクラフトという分野に分類された。その”女性のクラフトで女性の歴史を語る”というのがシカゴの”ディナーパーティー”のコンセプトだ。様々なリサーチを含め完成まで5年の歳月を要した作品である。その間、ボランティアなど、のべ400名の女性のサポートがあり、(もちろん彼女の主人も含め、数名の男性のサポートがあったわけだが)文字通り女性による女性のためのアート、フェミニズムアートとなった。3角形の台座は2,304枚の白いタイルで覆われ、その表面には999の女性の名前が付記されている。
スポットライトに静かに照らされたテーブルが、空席でありながら何か満たされた空気を感じさせるのは、有名無名の多くの女性の生きた証を内包するからだろうか。
(Yoko Yoshida)
奴隷廃止論者でフェミニストのソジュナー・トルース(1797-1883):左
女性の選挙、教育等の権利を唱えたスーザン・アンソニー(1820-1906):右
The Dinner Party
Judy
Chicago©, 1979
Sojourner Truth and
Susan
B. Anthony place settings
Photo : Donald Woodman©