マニュファクチャード・ランドスケープ
Manufactured Landscapes: The Photographers of Edward Burtynsky
10/7−1/15,2006
ブルックリン美術館
Brooklyn Museum
Burtynsky, Edward
Rock of Ages #4
Abandoned Section
Adam-Pirie Quarry, Barre, Vermont
88.9 x 71.1 cm
本展は、カナダ人フォトグラファー、エドワード・バーティンスキー(Burtynsky,
1955—)の初のメジャー回顧展。オタワにあるナショナルギャラリー・オブ・カナダの企画が巡回したもので、ブルックリン美術館の展示にあたっては、美術館の写真・ドローイング・版画デパートメントのチェアー、マリリン・クシュナーが担当している。
Burtynsky, Edward
Oil Fields #13
Taft, California
2002
Dye-coupler print
Edward Burtynsky (born
1955)
Densified Scrap Metals
#3a
Hamilton, Ontario,
1997
Dye-coupler print
Courtesy of the Nicholas Metivier Gallery
バーティンスキーは、世界各地の 近代産業や製造業の現場を被写体にする。ラージフォーマットヴューカメラによる彼の写真には、採掘や採鉱場、石油精製場、廃棄物再生場、大型船舶の解体場などが広大な風景画のように表現される。彼の写真は、自然を荒廃させる産業への批判をこめたものでもなければ、産業技術への讃歌を表明するものでもない。中立的な立場から、自然と産業技術が交差する風景を映し出す。 本展には、2002年から2005年にかけて中国で撮影された最新プロジェクトも含まれている。そこには、工場労働者が或るユニットのように構成的にとらえられている。
Burtynsky, Edward
Shipbreaking #27, Chittangong
Bangladesh, 2001
Dye-coupler print
Courtesy of the Robert Koch Gallery
Edward Burtynsky (b.
1955)
Manufacturing #2,
Shift Change
Yuyuan Shoe Factory
Gaobu Town, Guangdong Province, China, 2004
写真をデジタル化することでカラートーンを調整することはあっても、構図はその現場でとらえたものだという。多くはシャッターを切らないという彼は、様々な現場で、時間をかけて構図を吟味し、そして経験から半ば感覚的にシャッターを押すと言う。
ペインティングやデザインの経験もあるというバーティンスキーの写真には、色彩・ 構成・
質感・ディテールへのこだわりなど、一貫した形式美がある。その形式美ゆえだろうかニューヨークタイムズ紙には、写真の常套手段に陥っているとの厳しい批評が掲載された。ベッヒャー、グルスキーなどの後では、被写体へのより掘り下げたアプローチが求められているということだろうか。いずれにせよ、バーティンスキーの写真をめぐる議論は、現在の写真のあり方、あるいは批評における写真の捉え方を伝えるものでもある。(Yoko
Yamazaki)