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-CONCEPT-OLD記事

The Frick collection

フリック・コレクション


住所  East 70th Street t  Fifth Avenue

Tel. 212-288-0700

URL  http://www.frick.org

~   10A.M.~6P.M.

        1P.M.~ 6P.M.

        休館

入場料     $10 (students and senior citizens $5)


プッサン、クロードとその世界:

エコール・ド・ビュウ・アーツの17世紀フランスのドローイング展

9/18~12/1, 2002  

  

ジャック・ステラ:ビレノに捨てられたオリンピア

Jacques Stella, Olympia Deserted by Bireno, 1633

Black and red chalk, pen and black ink with brown wash and while highlights on paper

225 x 386 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts  

   

ニコラス・プッサン:洗礼者聖ヨハネの首を受けるサロメ

Nicolas Poussin, Salome Receiving the Head of Saint John the Baptist, Mid 1640s

Pen and brown ink, brown wash  on paper, laid down

155 x 234 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts

                        パリのエコール・ド・ビュウ・アーツの前身は、ルイ14世の時代に設立されたロイヤル・アカデミー。革命の混乱の中を生き残り、19世紀初頭に建築のアカデミーと合併し現在に至る。ドローイングがアートを学ぶために不可欠という信条のもと、このエコールは、16世紀から19世紀にかけてのフランス、イタリア、北ヨーロッパのドローイングを多く収集した。現在では15,000点にのぼるドローイングを今に伝える貴重な施設だ。これがフリックと提携して行ったのが、今回の展覧会。焦点が当てられたのは、後世に多くの影響を与えた、ニコラス・プッサン(Nicolas Poussin 1594-1665)とクロード・ゲレ、通称ロレイン(Claude Lorrain 1604/05-1682)で、盛期ルネッサンスの影響を強く受けたフランス古典主義(1620~1680年代)を代表する二人である。彼等の異なるタイプのドローイングをメインに、フランスでも未公開のものを含む計71点の作品が展示された。

 

 ニコラス・プッサン:ソロモンの審判

Nicolas Poussin, The Judgement of Solomon, 1649

Pen and brown ink, brown wash, over black chalk on paper, laid down

246 x 383 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts

                        プッサンは、フランスのラファエロ後継者ともいうべきアーティスト。イタリアに滞在中、古典建築や美術を研究し、その体験から独自の徹低した絵画理論を打ち出した。神話や歴史をテーマに多くの作品を描いたが、その中で彼がもっとも重要視したのは構図だった。登場人物の個々の表情よりも、その感情や役割、そして主題そのものを伝えるジェスチャーとそれらの形体の配置が重要だった。例えばルーヴル所蔵の”ソロモンの審判(The Judgment of Solomon)"の習作ドローイングでは、ひとまわり大きく描かれたソロモンを中心に、審判の直後の人々の様子を劇的に伝える。

クロード・ゲレ(通称ロレイン):木々の習作

Claude Gellee, called Calude Lorrain

Study of Trees, 1635-40

Black chalk, pen and brown ink, with brown wash on paper, laid down

182 x 123 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts

クロード・ゲレ(通称ロレイン):イーニアスとその友のレイシャンへの上陸

Claude Gellee, called Calude Lorrain

The Disembarkation of Aeneas and his Companions in Latium, 1640-1650

Pen and brown ink and brown wash with white pink highlights on brown paper

185 x 258 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts

                        クロード・ロレインもイタリアで活躍し、古典世界をテーマに多くの絵を描いた。プッサンと対象的なのは、その舞台が”自然”だったこと。(後にコンスタブルなど、イギリスの風景絵画に影響を与えたことで知られる。)自然への関心はドローイングの取り組み方の違いも生んだ。プッサンの場合、ドローイングはすべて油絵の完成作品を想定してか、あるいは構図の検証のために描かれた。しかしロレインは必ずしもそうではなく、例えば彼はローマの地方(カンパーニャ)で、夜明けから日没までの様々な時間における影と光の変化を追求し、それをドローイングにおさめた。個々の木々を描いたロレインの目は、プッサンの目とは確かに違う。(フリックの常説会場にはロレインの油絵、”山上の垂訓:The Sermon on the Mount”が公開されている。彼の自然への観察がどのようなかたちで油絵に反映されているのか、見る事ができる。)

クロード・ゲレ(通称ロレイン):山上の垂訓、フリックコレクション所蔵

Claude Gellee, called Calude Lorrain

The Sermon on the Mount

© The Frick Collection, New York

                        フランスの美術を支えたアーティストは、プッサンやロレインに留まらない。会場にはルイ王朝下の貴族に仕えたアーティスト、シモン・ブエ(Simon Vouet,1590-1649)やル・ブラン(Cherles Le Brun, 1619-1690)らの作品も並ぶ。ブエによる”ある男の肖像画”は、彼の技量を示すものだ。(近年の調査により、自画像ではないかといわれている。)当時のアーティストの役割はバラエティーに富み、絵画のみならず、タペストリー、彫刻、建築のデザイン等と、様々な用途のためにドローイングを描いた。得にル・ブランは、ベルサイユ宮の全体のプロジェクトを受け持ち、プロジェクトディレクターという職種を生み出したアーティストでもある。

シモン・ブエ:ある男の肖像

Simon Vouet, Portrait of a Man, Front View, 1625

Black chalk on paper

132 x 95 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts

シャルル・ル・ブラン:両手をあげた翼のある女性像(彫刻のための習作)

Charles Le Brun

Winged Female Figure with Raised Arms, Late 1650s-Early 1660s

Red chalk and brown wash on beige paper

415 x 257 mm

© Paris, Ecole nationale superieure des beaux-arts

                        一口にドローイングと言ってもそこには様々なアプローチと用途がある。歴史的、社会的な背景も興味深い。しかしもっと興味深いのは、ドローイングによってアーティストが何を見、何を考えたかが数百年たった今も私たちに伝わる事だ。

Yoko Yamazaki)

 

                       

 

 

 

                       

 

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