The City of K.: Franz Kafka and Prague

「K.の町：フランツ・カフカとプラハ」

ジュイッシュ・ミュージアムで８月１１日にオープンした展覧会は一風変わっている。The City of K.: Franz Kafka and Prague「K.の町：フランツ・カフカとプラハ」は、ユダヤ系ドイツ人作家カフカ、と生まれ育った町プラハの関わりをマルティメディア・インスタレーション空間で幻想的に蘇らせる。

全体的に暗い照明、ガラスの表面に浮き上がるカフカや彼に関わった人々のポートレイト、壁面に映し出されるプラハの町、バックグラウンドに流れるクラッシック、その他音響効果、木材、透ける布地を使って構成された迷路のような部屋の一角。プラハのカフェに集ったカフカの作家友達は鉄フレームのガラステーブルに並べられ、その資料が床につくる影でさえ意味ありげで美しい。小説家に関する展示だから文節は多用されているが、読まなくてもある程度体験できる展覧会である。フランスの現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーの強烈なインスタレーションをも連想させる展示だ。

Installation shot, The City of K.: Franz Kafka and Prague,
Centre de Cultura Contemporania de Barcelona
©Jewish Museum

展示は前後半に分かれている。前半はKafka in Prague: Existential Space　「プラハのカフカ：実存する空間」と題され作家の人生、子供時代から末期の結核との闘いを追っている。また町とその時代（オーストリアハンガリー王国、第一次世界大戦、現代）が若い作家の人生と小説に及ぼした影響を考察する。後半のではPrague in Kafka: Imaginary Topography「カフカのいたプラハ：空想の地形学」と題してプラハがどのような形で隠喩的に「城」「判決」などの小説に登場するかを分析する。

The City of K.: Franz Kafka and Prague　はスペイン、バルセロナ現代文化センター（the Centre de Cultura Contemporània de Barcelona）が企画するWriters and their Cities　シリーズの一環である。第１回展はJames Joyce’s Dublin 「ジェームス・ジョイスのダブリン」だった。これら企画、展示の指揮するのはJuan Insúa　キューレター、ホアン・インスアである。インスアは文学、哲学、演劇、心理学、映画、音楽、オーディオ・ヴィジュアル・コミュニケーションなどを独習し、ラジオプログラム企画などを経て現在に至っている。現在は新しい形の展覧会の創作活動が中心である。

1. Model of the old town (1826-1834)
where Kafka’s first three homes, his school, the university, and his office were located
©Jewish Museum

Dr. Hoffman’s sanatorium in Kierling,
where Kafka died on June 3, 1924. Courtesy of Archiv Klaus Wagenbach, Berlin
©Jewish Museum

A montage based on a photograph of Franz Kafka from 1917,
when he as thirty-three years old, with a picture of the rooftops of Prague.
©Jewish Museum