ロバート・ラウシェンバーグ展
Robert Rauschenberg: Combines
12/20、2005−4/2、2006
メトロポリタン美術館
Metropolitan Museum of Art
Coca-Cola Plan, 1958
Combine painting: pencil on paper, oil on three Coca-Cola bottles, wood newel
cap, and cast metal wings on wood structure
26 3/4 x 2 51/4 x 5 1/2 inches
The Museum of Contemporary Art, Los Angeles, The Panza Collection
本展は、
ロバート・ラウシェンバーグ(1925−)の1954年から64年に制作されたコンバイン(Combine)シリーズに焦点を当てた展覧会。
コンバインは、ラウシェンバーグの造語。伝統的な美術素材とは異なる物を組み合わせるという点で、ダダやシュールレアリズムの用いたアセンブリッジ(あるいはアサンブラージュAssemblage)やキュビズムのコラージュ(Collage)の手法と重なるが、異なるのは、平面・立体にこだわらず集められたオブジェクトが一作品を構成するための部分ではなく、それぞれ独立した物として組み合わされつつお互いに関連し合うことだった。
Lincoln, 1958
Combine painting: oil, pencil, paper, printed reproductions, fabric, and metal
on canvas
17 x 20 7/8 inches
The Art Institute of Chicago, gift of Mr. and Mrs. Edwin E. Hokin, 1965.1174
ラウシェンバーグは、理想ではなく実生活のリアリティーをアートに持ち込もうとしていた。これは、当時ニューヨークの美術界をリードしていた批評家クレメント・グリンバーグのフォーマリズム理論とは真っ向から対立する衝撃的なものであった。グリンバーグのフォーマリズムは、アート(殊に絵画)の純粋性と自律性を重んじたため、アートと社会生活の関連を認めなかった。日常を作品に取り入れるアプローチなど問題外。ところがラウシェンバーグは、彼の私生活に非常に密着しているもの(誰にとっても最も個人的なオブジェクトの一つ)ベッドを作品に持ち込んだ。(「ベッド」1955:モマ所蔵。本展にも貸し出されている。)その他にも家族写真や雑誌のグラビア、衣類、
中古家具屋で見つけた剥製、時計、
椅子、はしご等々(平面的なものから等身大の立体的あるいは建築的なオブジェクトまで)をコンバイン、つまり組み合わせている。絵画・彫刻の枠を超え見る側に新たに自由でナレイティブな(narrative)視点を喚起するラウシェンバーグのアートは、美術史家レオ・スタインバーグ(Leo
Stenberg)にフォーマリズム以外の基準(criterion)を確信させた。展覧会オーディオ・ガイドには、ラウシェンバーグ自身の談話の他、スタインバーグがラウシェンバーグについて熱く語る60年代の講義も含まれる。
「キャニオン(1959)」、「モノグラム(1955−59)」などの50年代の代表作はもちろん、1964年来日し草月会館で公開制作した「ゴールド・スタンダード(1964)」を含む67点の作品を公開する。メトロポリタン美術館ではここ数年、近・現代美術の展覧会とコレクションの充実を図っている。本展もその一貫であり、これを機に「ウィンター・プール(1959)」を購入している。
ロサンジェルス現代美術館(MOCA)企画。メトロポリタンの後、MOCA、ヨーロッパはポンピドウ、ストックホルム現代美術館を巡回予定。(Yoko Yamazaki)
Pilgrim, 1960
Combine painting: oil, pencil, paper, printed paper, and fabric on canvas, with
painted wood chair
79 1/4 x 53 7/8 x 18 5/8 inches
Hamburger Kunsthalle, Hamburg