The New-York
Historical Society
ニューヨーク歴史協会
展覧会名 “Magnum :Our Turning
World:Photographs
1989~1999”
“マグナム:世界の変転:1989~1999の写真”展
この展覧会は
① enduring rituals(長続きのする儀式)
② chronicle of chaos(カオスの歴史)
③ daily aesthetics(日常の美学)
と3種類に分けて展示されている。
同展は天安門広場で1人の中国人学生が戦車の列を止めようとしている有名な写真で始まり、1989年以来、根本的に世界を変えた歴史的出来事をハイライトにして展示されていく。
ベルリンの壁の崩壊、モスクワの騒乱それにともなうソビエト連邦の崩壊等。
①では家族、宗教、公共の祝い事と積年の伝統であるような社会の基盤を探求する。 セントラルパークで池の上の木にぶら下がって遊ぶ子供たち、スペイン沖でのトロール船漁、ジャズミュージシャンのシリーズ等。
②では戦争、貧困、環境破壊、暴力、抑圧と絶望により傷ついた20世紀最後の10年間を描く。 ベルリンの壁の有刺鉄線を引き千切ろうとする手、チェチェン戦争での爆撃後の惨状、チェルノブイリ原子発電所の爆発によって被害をうけた子供たちのポートレイト等。
③では建築、文化、ファッションと日常生活上の消費の積み重ねの結果を展覧する。 少女たちのビューテイコンテスト取材、ニューヨークの文化生活の写真等が展示されている。
また同展はマグナム フォトエージェンシー50周年を祝ったものでもある。 マグナムは世界で最も優れ、有名なエリート写真家の集団である。 第2次世界大戦直後に、4人の歴史的に最も尊敬されているフォトジャーナリスト:
HenriCartier-Bresson、 George Rodger、 David ‘Chim‘ Seymour and Robert Capa により設立され、そのメンバーは過去50年の間、ほとんど全ての大きな世界的イヴェントや重大な歴史的瞬間を撮り続けてきた。
この展覧会の感想を一言で書くならば、写真はドキュメントに始まりドキュメントに終わると今更のごとく痛感させられた。 ドキュメントの迫力、力強さによる歴史上の重みは写真ならではというのが、一目瞭然であった。 昨今、いわゆる芸術写真なるものが幅をきかせてはいるが、この展覧会を観るとその様な芸術写真を制作されているアーティストたちに是非観ていただき、原点に帰れと声を大にしてお薦めしたい。
同時に “Without Sanctuary:Lynching Photography in America”展も行われており、これは、アメリカのリンチの記録展である。 やはりドキュメントの真迫性には深く思うところがあり、是非お勧めしたい。
©The
New-York Historical Society |
Tokyo,
1996. by Gueorgui Pinkhassov |
©The
New-York Historical Society |
Keukenhoff, Holland. 1997. by Martin Parr
|
©The
New-York Historical Society |
Tulku Khentrul Lodro Rabel with his tutor.
Scechen Monastery, Nepal, 1996. by Martine Frank |
©The
New-York Historical Society |
The passion of Easter.
Santa Lucia,Philippines, 1995. by Abbas |
©The
New-York Historical Society |
Outskirts of Tijuana.
Mexico, 1995 by Alex Webb
|
©The
New-York Historical Society |
Fall of the Berlin Wall.
Berlin, 1989. by James Nachtway |