パイクと未来
パイクは“VENICE-TURTLESHIP-A TRIAL OF MR. PICASSO”の中で、次のような内容を述べている。
私たちビデオ・アーティストは、人生における空っぽな時間を満たしてゆかなければならない。私たちにはやらねばならないことが山ほどある。誰もビデオアートにお金は出さないだろうが・・・。
私の強い気持は、衛星放送で全世界にビデオアートを放映することにあり、この控えめなアートプログラムは少なくとも2010年から2050年までの間、継続するべきである。・・・毎週金曜日夜8時に。
問題は手付かずのままである・・・。ビデオアートとは何なのか。
他の問題・・・。
おそらく昔起こった社会的革命は、保守産業崩壊の結果として、多くの失業者のためにカムバックするだろう。
哲学者、思想家、革命家としてのパイクは大胆不敵であり、真のアーティストである。
そして、上記のような現実離れした内容が実現されることも、彼の過去から考えれば、決して難しいことではない。彼は常に世界、そして未来を意識して活動している。内容は1993年に書かれたものである。
現在の日本には希望がない。
あるのは失望感である。現代美術は常に現在進行形であり、今と未来の問題に対する解答を創り続け、模索している。日本以外の国ならば現実問題として、経済格差、戦争、民族、差別などに常に直面している。物が豊富にある日本に、なぜ絶望感が残って、希望がないのか。希望を勝ち取るための指針の1つがここには示されている。