ポップ・アート Pop Art
・ポップ・アートとは
ポピュラー・アート、Popular Art(大衆芸術)に由来する言葉。1950年代から1960年代にアメリカとイギリスを中心に広まった。その主題は広告やメディアを含む大衆文化であり、消費文化、欲望の象徴となる広告、漫画、女優の写真、加工食品などが扱われた。ポップ・アートは大衆消費社会に向けられた賛歌であり、当時アメリカで主流の崇高性に満ちた抽象表現主義に対する反動、否定、皮肉でもあった。
・ポップ・アートの始まり
1956年のイギリスにおける、リチャード・ハミルトンのコラージュ作品「いったい何が今日の家庭をこれほどまでに変え、魅力的にしているのか」が代表作となっている。この作品はロンドンの大衆文化のための展覧会「これが明日だ」において初めて展示され、また1962年にはNYで展示され、ポップ・アートの存在が急速に認められた。このポップ・アートの始まりには、消費物資などを主題に扱ったダダやネオ・ダダが素地にあり、それは多様化、深化する中でコンセプチュアル・アートを導いていった。
・アメリカのポップ・アート
マリリン・モンローが死亡した1962年にロイ・リキテンスタイン(巨大な漫画の一コマなどの作品が有名)、アンディ・ウォーホル(複数のコカ・コーラや有名人のシルクスクリーンなどの作品が有名)らが個展を開きアメリカのポップ・アートは急速に広まった。それらについて全てにではないが、二つの共通点がある。ひとつは細部の強調や巨大化である。もうひとつは、非個性化あるいは無名性である。それは、それぞれの作家の作品は個性的であるが、イメージを前に出し作家自身はその陰に隠れるという意味での非個性である。そのイメージとの距離、間接性、乾いた関係性が時代を象徴していた。