あの恐ろしい2001年9月11日から一年経った。1周年記念日、街はどことなくそわそわしていた。早朝から記念式典が各地で開かれ、休業する店、会社、特別礼拝を行う教会、騒ぎ立てるテレビ、ラジオ、広告。一方ほとんどの会社、商業は普通営業し、日常と変わらない風景であった。
この一年間に多くのアーティストが9・11をテーマに作品を制作し、展覧会が企画された。そのうちのいくつか取り上げたいと思う。
メトロポリタン美術館
The Metropolitan Museum of Art:
「消防団22,13の当番表(黒板)」
期間:September 10,
2002–September 15, 2002
The Charles Engelhard Court of The American Wing
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消防団22,13は昨年の救助作業中にビルの崩壊に巻き込まれ命を落とした9人が所属していた消防団だ。展示されているのはその9人の名前が書き込まれている黒板だ。この黒板はメトロポリタン美術館によって修復、額装された。展示期間終了後はそれぞれの消防団に返される。 |
ニューヨーク・ヒストリカル・ソサイアティー
The New York Historical Society:
「9-11一年経って」
9-11 One Year Later
ニューヨーク・ヒストリカル・ソサイアティーはニューヨークの歴史を過去に伝え残す活動を200年近く続けている団体だ。2
West 77th Street、セントラルパーク沿いにある。
1周年記念に4つの展覧会、フィルム上映、公開ディスカッション、朗読とパフォーマンスなどが1週間に渡って企画された。
展覧会のうちの一つIn
Memotiam 「思い出に」(10月31日まで)ではビルの瓦礫から発見された上階にあったと予測されている電話、警察、消防車の一部分、ワールドセンター跡地に供えられた蝋燭、写真、星条旗など様々なものが集められた。展示室にあるノートには誰でも思い、考えを書き込めることになっていて、このノートはソサイアティーの永久的資料として残される。 9/11
by 4 「4人による9/11」では、それぞれの作家が別の角度から見た事件を作品にした。Camilo
Jose Vergara の2001年以前に撮り続けていたワールドトレードセンターの写真、Keving Burbriskiの跡地を見舞う人達の表情を捉えた写真、
Richard Pressの犠牲者救出、DNAなどによる判明作業風景 Christopher
Evansの球表面に描かれた亡き貿易センタービルからのニューヨーク一望。期間は10月20日まで。
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© Richard Press
Beyond Ground Zero: The Forensic Science of Disaster Recovery
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©
Keving Burbriski
Pilgrimage:Looking at Ground Zero
花のWWC-壁画:
昨年の10月ころに制作されたこの壁画は、今まで自分自身を含めたくさんの人が共感してきたと思う。
この壁画はManhattan
School for Career Development、The Dwight School、 Copper Unionの共同制作である。
ヒア・イズ・ニューヨーク
here is new york:
事件後、開いていた店舗を利用して始められたのがヒア・イズ・ニューヨーク。9・11に関する写真をカラーコピーして1枚$25で展示販売、売上金は被害者の子供たちを援助する団体に寄付された。プロ、アマチュア問わず誰もが写真を持ちこむ、またはメールで送ることもでき、今までに集まった作品数は3000枚以上。壁では納まりきらず天上に紐が張られ作品はそこにも吊るされた。メディアで大きく取り上げられ、連日3000人以上の人でごった返した会場。インターネット上でも購入できる、$25という手頃な値段で初めの2ヶ月で毎日70枚以上販売、50万ドル以上の売上げにもなった。展覧会はアメリカ国内外で開催され、日本でも9月10日から16日まで日本橋三越で開催されたはずだ。
ウェブサイトはhttp://hereisnewyork.org
ニューミュージアム
The New Museum:
「世界の視点:オープン・スタジオ展」
World Views:
Open Studio Exhibition
Lower Manhattan Cultural Council's Artist-in-Residence Program at the
World Trade Center
1 December 2001 - 13 January 2002
ニューミュージアムで昨年事件から間も無い12月に開催されたのは、世界貿易センター内にスタジオを持っていたロウア―マンハッタン文化協会、アーティスト・レジデンシープログラムの2001年度参加作家展だ。1997年以来若い作家に6ヶ月間スタジオスペースを提供し、昨年までの参加者は140人以上。2001年度は15人が選ばれ92階スペースを共同で使用していた。9月11日朝、スタジオで作業していた彫刻家、Michael Richardsは亡くなった。第二時世界大戦で活躍した150人以上のアフリカン・アメリカン、誰一人として勲章をもらわなかった。リチャードはこれをテーマにTuskeegee Airmenシリーズを制作中だった。この展覧会は彼に捧げられた。
© The New Museum
マンハッタン・カルチャル・カウンシル
Manhattan Cultural Council
ダウンタウン・ナオ地図
DowntownNOW
map:
ダウンタウン・ナオ・マップはロウアー・マンハッタン(Lower
Manhattan-ソーホー以下位の地域)再復興計画会議の中で提案された。昨年の9・11以来マンハッタンの南端地域は誰もが精神的にも経済的にも苦しんだ。中心的なビルが崩壊し多くの店舗が閉店に追いやられ、その他も人々を呼び戻すのは難しかった。
ダウンタウン・ナオ・マップはLower
Manhattanに活気を取り戻すのを願って作られた。開くと30cmx60cmにもなる地図は分かりやすく、裏面には歴史的ビル、現代建築、公共アート、美術館は写真入で。文化団体、ギャラリー、教育機関、祈りの場所、舞台、映画のリストも載っている。
発行後4ヶ月の内に学校、市民、役所、観光案内所、などに合計10万部以上配布された。無料で配布されている地図はニューヨーク・ビジター・センター、パブリック・ライブラリー、モマデザインストア・ソーホーなどで手に入る。
www.culture-now.org
この地図はthe
Lower Manhattan Cultural Councilなどが協賛した。
マンハッタン・グラフィック・センター
The Manhattan Graphic Center
「9・11」:
マンハッタン・グラフィック・センターは全て会員のアーティストのボランティアで経営されているプリントメイキングショップ(スタジオ)だ。有志のアーティスト、43人の9・11に捧げた作品展が2002年9月11日から始まった。43点全てがライブラリー・オブ・コングレス(国会図書館)へ寄付され、永久保管されることになった。
© Kris Gregry
© Angela Valeria
© Vijay Kumar
bodaiju
bodaiju
は9・11をきっかけに発足された。Tシャツにメッセージを託して平和を訴えようというアイディアを持つ日本のグループだ。日本人アーティスト4人に依頼して制作されたTシャツは24種類、現在チェルシーのCealum
Galleryで展示され来訪者に配られている。多くの人がTシャツを受け取って驚き、中には感動して涙ぐむ人もいた。
今後BodaijuはTシャツをアフガニスタンに届けに行きたいそうだ。このプロジェクトを第一弾として、その他様々な世界の問題に目を向け活動を続けていきたいと抱負を語った。詳細はwww.bodaiju.net
Light-up at Hudson River
みや