MTA
ストライキ、2005年
ニューヨークでは、MTA(都市圏交通公社)の労使交渉(MTAと交通労働組合TWUとの間の賃金と年金を巡る交渉)が決裂し、12月20日火曜日午前3時市内の地下鉄及びMTAバスの運行が全面ストップした。11日間続いた1980年のストライキ以来25年ぶり。例年よりもかなり冷え込むニューヨークで、人々の通勤・通学の足が奪われた。また、通常ならばクリスマスのホリデーシーズンに買い物客が集中する時期でもあるが、ストライキ2日目の水曜日、デパート等での売り上げが40−60パーセント減との報道があった。
12月21日午後5時頃。ブルックリン・ブリッジ、ブルックリン・サイド。
Photo ©S.Yoshida
そんな中気になったのは美術館等の文化施設の開館状況だが、メトロポリタン、モマ、グッゲンハイム、ホイットニー、ジューイッシュ美術館などの主要美術館はスト中も通常通りの開館を行なった。また、ダウンタウンでは、イースト・リバーのサウス・シーポートからバッテリーパーク、そして西側のハドソンリバー沿いロックフェラー・パーク間を結ぶ無料のダウンタウン・コネクションバスが通常通り運行し、交通渋滞をのぞけば、バッテリー・プレース(Battery
Place)に位置するジューイッシュ・ヘリテッジ美術館(American Museum of Jewish
Heritage)や超高層美術館(Skyscraper
Museum)へのアクセスは可能となった。都心部をやや離れたブロンクス美術館、ブルックリン美術館、クイーンズ美術館も通常通りの運営を行なった。中でもクイーンズ美術館では、ストライキ中、メトロカードあるいは組合証を提示すれば入場料無料という取り組みも行なった。しかしながら、スタッフの人員確保が困難なため、ストライキ期間中、開館時間縮小、あるいは全面閉館を余儀なくされた施設もあったようだ。
12月21日午後5時頃。ブルックリン・ブリッジ、ブルックリン・サイド。
Photo ©S.Yoshida
組合側にやや同情的だった市民からも、経済効果への悪影響を顧みないと批判的な意見が出始めた木曜日、州の仲介が入りTWUはストライキ収束の採決を出した。交通網の全面復旧にはまだ時間がかかるとしながらも金曜朝の通勤・通学には支障無く運行の予定。ブルックリン・ブリッジなどを経由し徒歩でマンハッタンまで通勤する人々の様子が連日報道されたが、ちなみにブルックリン在住の著者の所からブルックリン・ブリッジまでで徒歩約1時間半。帰宅時には車での移動もブルックリン内の渋滞が目立った。ストライキ収束のニュースには皆一安心と言ったところだろう。(12/22/05:Yoko Yamazaki)
12月22日午後4時過ぎ。(スロライキ収束の報道後)ブルックリン美術館最寄りの地下鉄入り口。
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