アンドレ・ケルテス
André Kertész
September 16 – November 27, 2005
International Center of
Photography
1133 Avenue of the Americas at 43rd Street, New York, NY 10036 |
Phone 212-857-0000
Tuesday -
Thursday: 10 am - 6 pm
Friday: 10 am - 8 pm
Saturday and
Sunday: 10 am - 6 pm
Closed Monday,
January 1, July 4, Thanksgiving Day, December 25
Museum Store
Open Daily:
Monday: 10 am - 5 pm
Tuesday - Thursday: 10 am - 6 pm
Friday: 10 am - 8 pm
Saturday - Sunday: 10 am - 6 pm
General
Admission: $10
Students and
Seniors: $ 7
Voluntary
Contribution Fridays from 5 to 8 pm
André Kertész
Satiric Dancer, 1926
Gelatin silver print on carte postale
© Estate of André Kertész and the Jeu de Paume/French Ministry for Culture and
Communication
Nicholas Pritzker, courtesy Edwynn Houk Gallery, New York
アンドレ・ケルテス(1894−1985,
ハンガリー生まれ、アメリカ人)は、ブラッサイ(Brassaï)、ロバート・キャパ(Robert
Capa)、ヘンリ・カルチエ・ブレッソン(Hennri
Cartier-Bresson)等に影響を与えた20世紀の巨匠の一人といわれる写真家である。100点をこえるヴィンテージプリントで構成された本展は、70年に及ぶケルテスの仕事を3期(1910〜20年代初頭[ハンガリー]、1920〜30年代[パリ]、1936〜80年代
[ニューヨーク])にわけ紹介する。
ケルテスが写真を撮り始めたのは、1912年といわれている。第一次世界大戦に従軍した際には、
戦友や軍服姿のセルフポートレートなどを撮影。復員後は兄弟や友人をモデルに、また静物、風景などの様々なモチーフに取り組む。この時の作品の多くは、密着焼きの小さなもの。二つの世界大戦に挟まれたこの時期、ケルテスの写真の中の情景は平和でほのぼのしてみえ、ファミリーアルバムの趣すらある。
ケルテスは、1925年パリに移り本格的に写真に取り組む。パリジャンの生活と文化をカフェやストリートをとおして表現した一連の作品が評価され、
写真家としての地位を築く。当時のパリにはアーティストが集い、ケルテスは多くのアーティストと交流をもつ。モンドリアン(Piet
Mondrian,1872-1944)のスタジオを撮った“Chez
Mondrian, Paris, 1926”は、この時期の代表作の一つ。
1936年、新しい仕事のためニューヨークにむかう。その仕事は契約にはいたらなかったが、ヨーロッパの政治情勢の悪化により引き続きアメリカ滞在を余儀なくされる。その後市民権を得る訳だが、ヨーロッパでの成功に比べ、1960年代半ばごろまでのアメリカでの評価は今ひとつだった。1950年代は、多くの写真家がそうであったように、ケルテスもまた、ハーパーズ・バザーなどの商業雑誌で仕事をした。1963年ベニス・ビエンナーレでの成功を皮切りに、1964年にはMoMA
などアメリカ主要美術館での個展が開催され、本格的な評価を獲得する。
André Kertész
Géza Blattner, 1925
Gelatin silver print
© Estate of André Kertész and the Jeu de Paume/French Ministry for Culture and
Communication
The Museum of Modern Art, New York Thomas Walther Collection, Gift of Thomas Walther
ケルテスは、被写体に対してオープンで、生涯にわたり様々なアプローチを試みた。例えば、鏡の歪みを利用して撮ったヌード(ディストーションシリーズ)など実験的な作品も制作している。
ケルテスよりも先にフリードランダー(Lee
Friedlander)や、ブレッソンを知っているものにとっては、
ケルテスの作品の中に彼らを見いだすような影響関係の逆転現象ともいうべき発見があるかもしれない。なぜなら、フリードランダー的な遊び心、ブレッソンの決定的瞬間ともいえるシーンに出くわすからだ。
生涯を通じ、決まったスタイルを持たなかったといわれるケルテスだが、後のフォトグラファー達がそれぞれテーマとするような様々な要素を作品の中に内在させていたようだ。
(S.Yoshida)