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-CONCEPT-OLD記事

岡本太郎特集

 

岡本太郎の絵の観方について

2000年4月29日

 

岡本太郎の絵だけでなく、彼がどのような両親の元に生まれ育ったか、それが彼の人生に多大なる影響を及ぼしたであろう事を抜きに彼の絵を語る事はできない。

1930年元旦 箱根丸船上にて (左より 一平・太郎・かの子)

文中の写真は全て © 岡本太郎記念館

彼の父親 岡本一平(1886~1948)は漫画家として知られているが、元々は藤島武二らに学び、のち東京美術学校西洋画科に入学。 在学中に帝国美術院展覧会に《トンネル横町》を出品し、入選した。 卒業後(1910)朝日新聞社に(1912)に入社して漫画を担当し従来のポンチ絵形式を一変し現代漫画を生んだ。 1922年と1929~32年と2回ヨーロッパを巡遊し、主な著作に《世界漫遊》・《野次喜多》がある。

晩年の一平

また母親 岡本かの子(1889~1939)は歌人、小説家である。22歳の時にまだ画学生であつた一平と結婚し、翌年太郎をもうけた。 結婚生活の夫との性格的対立に10年間程苦しんだ末、仏教研究をはじめ一平の漫画家としての名声が確立すると、天台学から原始仏教に進んだ。 この年に川端康成を知り小説家になる機縁となつた。 著書は多くあり代表作に《母子叙情》、《金魚繚乱》、《生々流転》等を挙げるにとどめる。

1927年 かの子と

その子供 岡本太郎は1911年東京に生まれる。 慶応幼稚舎、普通部をへて東京美術学校に入学。 半年後、中退。 1929年、渡欧。 パリで前衛芸術運動に参加し、ソルボンヌ大学で文化人類学を学ぶ。1940年、帰国。

小学校入学頃の記念写真

パリ時代

こんな環境で生きた太郎は自著 「岡本太郎の眼」 の前文につぎのように書く。 「私は青春の十年以上パリですごした。 そこでは、情熱と確信をもって、前衛芸術運動に身を投げこんだ。 私は世界人でありたいと思ったのだった」以下略、続いて 「そんな切実な思いで日本に帰ってきた。 しかし、あきれた。 多くの日本人が日本人でないのだ」また続けて 「私は官僚的に固定化して不毛になった伝統観をひっくりかえした。 たとえば、異端視されていた縄文土器の怪異な美に、忘れられた日本人のヴァイタリティ(活力)を発見したり」 伝統とは過去でない。 瞬間、瞬間に現在の自分を通して創り上げてゆくものである。

この言葉を読み、私が力説したいのは、当然太郎自身が1929年以来、10年以上もパリで過ごし、同時代のアーティストとして前衛芸術運動が、1924年アンドレ・ブルトンがシュールリアリズム宣言をした事もあり、それに影響を受けた事は想像にかたくなく、太郎の作品を理解するうえでこのシュールリアリズムにも多大な影響をうけたのをふまえてなければ、太郎の参加していた前衛芸術運動も理解できない事実がある。

座ることを拒否する椅子 Chair Refusing to Seat Anyone

1963

Ceramic

45 × 40 × 40 cm

それ故に、帰国して縄文土器 (これは多分に超現実主義的であり、或る意味ではと言うか太郎が考えたシュールリアリズムでもある)に惹かれた背景には母かの子の影響と日本回帰した事である。 それを太郎が意識していたかどうかは、多分彼自身も気がついていなかったにしても大きな影響力があったと思えられる。 その太郎が帰国してからの主題になったのは、彼自身が言っていたように座れない椅子をわざと創り続けた事、これは多分に縄文土器の形とシュールリアリズムを意識して創造したのは明解に理解できる。 その象徴的なモニュメントとしての70年に行われた大阪万博に創った “太陽の塔” ではなかったのか。

太陽の塔  Tower of the sun

繊維強化プラスティック

145 × 128 × 50 cm

第2次世界戦以前にこのような絵描きがいて、その後も日本の現代美術に対して警告を発し続けたこのエネルギーは脱帽に価する。 その太郎美術館が出来、再評価の気運が出てきたことは誠に喜ばし限りの事である。

 

   藤尾

 

 

 

爆発は岡本太郎だけのものでない!            篠原 有司男

岡本太郎作品集

岡本太郎年譜

New York Times が岡本太郎美術館を絶賛

 

資料提供・協力

岡本太郎記念館

 http://taro-okamoto.or.jp/
  

川崎市岡本太郎美術館

http://www.city.kawasaki.jp/mus/TARO/index.htm

 


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